毎月の業績を正しく把握する~現金主義と発生主義~

2015-07-22

1.現金の動きをみるか、商品の動きをみるか
2.現金主義と発生主義の違い
3.発生主義を採用する効果
4.月次決算の精度を高める

1.現金の動きをみるか、商品の動きをみるか
会計処理(記帳)の方法には、現金主義と発生主義があります。
現金主義とは、現金の動きを見て、取引を計上(記帳)する会計処理です。一方発生主義とは、商品の出荷、納品、入庫などモノの動きをもとに取引を計上(記帳)する会計処理です。
税務署や金融機関は、発生主義による決算書を求めているため、期中において現金主義で会計処理をした場合でも、期末には発生主義に修正する必要があります。

2.現金主義と発生主義の違い
両者の違いを説明するために、販売取引と仕入取引を例にします。
(1)販売取引による違い
現金主義の場合、代金の入金(売掛金の回収)があった時点で売り上げを計上します。そのため、商品を販売した時点(出荷や納品したとき)では、売上や売掛金は計上されていません。
発生主義の場合、商品を販売した時点(出荷、納品をしたとき)で売上や売掛金を計上します。
(2)仕入取引による場合
現金主義では、仕入代金を支払った時点で仕入を計上します。そのため、商品を仕入れた時点(入庫したとき)では、仕入や買掛金は計上されていません。
発生主義の場合、商品が到着し納品(入庫)した時点で仕入や買掛金が計上されます。

3.発生主義を採用する効果
発生主義は、現金の入出金とは無関係に売上や仕入を計上するため、毎月の業績を正しく把握することが可能です。
また、発生主義では商品の引き渡しと同時に売掛金が計上され、仕入先からの納品時に買掛金が計上されるため、資金繰りの予定が早めに把握でき、請求や回収もれの防止にも役立ちます。

4.月次決算の精度を高める
販売・仕入以外、例えば経費などでも毎月の損益に大きな影響を及ぼすものについても、発生主義で計上する必要があります。
(1) 未払の経費を月末に計上する
現金主義では、広告宣伝費などの販売費や管理費(家賃、水道光熱費、保険料など)は、実際に支払った月の経費に計上されます。
しかし、通常、発生した月と支払う月にはズレが生じるために、月次の損益に大きな影響を与える経費もあります。そのような経費については、請求書や納品書、契約書などにもとづき、未払金や未払費用として発生した月に計上します。
(2) 年払いの経費などを月割計上する
労働保険料や固定資産税、損害保険料など、年に1度特定の月にまとめて支払う類の経費には、特定の月の経費が多額に計上されてしまうことで月次の損益に影響を及ぼすものもあります。
このような経費を月割計上することで、発生額が平準化され、労働保険料の支払月に費用負担が集中し、月次の損益が大きく変動することを回避できます。
(3) 毎月、在庫を計上する
毎月末の在庫を計上することで、毎月の売上原価と粗利益(売上総利益)を把握することができます。正確に月末の在庫を把握するためには、毎月、実地棚卸を行うことが理想ですが、実際はなかなか実施できません。
そのため、予定原価率を用いて在庫の金額を概算で計上したり、棚卸の対象とする商品を毎月変えたり、在庫金額の大きい商品に限定する、という方法も考えられます。
(4) 減価償却費を毎月計上する
機械装置や建物、車両などの固定資産の減価償却費は、期末に一括して計上しますが、年間の見積額を基に、毎月月割で計上します。
これにより、減価償却費の形状を平準化し、毎月の業績に反映させることができます。

中小企業が会社法上の計算書類等を作成する際の会計処理基準を示す「中小会計要領」では、「収益・費用の基本的な会計処理」として発生主義による会計処理を要求しています。

 
 
 
 
 

Copyright(c) 2014 宇佐見会計事務所 All Rights Reserved.
Top