旅行業の資格申請における監査証明(監査報告書)の発行について

2018-07-27

1.はじめに
2.旅行業の資格申請・更新に必要な財務要件
3.旅行業で監査が必要になる場合

1.はじめに
最近、当ホームページを見たといって、監査証明(以下、監査報告書)の発行を依頼されることが増えてきています。
少し前ですが、旅行業の企業から、旅行業の資格更新のための監査の依頼を受け、今回お受けすることとなりました。

2.旅行業の資格申請・更新に必要な財務要件
旅行会社を設立するには、「旅行業」に登録し許可が必要になります。
ここでは、旅行業の申請・更新に必要な財務要件についてのみ記載します。
手続、条件等財務以外の要件については、旅行業を専門とする行政書士の先生のHP等をご参照ください。
(1) 基準資産額
「旅行業」として登録する場合、規模及び取扱いの範囲により「第1種」「第2種」「第3種」「地域限定」に区分されます。
「基準資産」の金額は、「旅行業」の種別により
第1種:3,000万円
第2種:700万円
第3種:300万円
地域限定:100万円
以上が必要になります。なお、「旅行業者代理業」に登録する場合は、基準資産の要件はありません。
基準資産額の計算方法は以下の通りです。
(資産総額-繰延資産-営業権-不良債権)-負債総額-営業保証金(または弁済業務保証金分担金)
注:
・繰延資産:創立費、開業費など、支出した費用のうち効果が1年以上に及ぶため、資産に計上するもの
・営業権:会社を買収した際に、「買収額>買収した会社の純資産額」である場合の差額
・不良債権:長期(1年以上が目安)にわたって回収がなく、これからも回収見込のない債権
・営業保証金または弁済業務保証金分担金:(2)で説明します。

(2) 営業保証金及び弁済業務保証金分担金
① 旅行業では、業界特有の慣習として「営業保証金」制度があります。
最近、ある旅行会社が倒産し、代金支払い後の旅行者が、返金を受けられずまた旅行にも行けず困惑したことは記憶に新しいと思います。
すなわち、上記の例のように、旅行者が泣き寝入りをしないように、 旅行会社に財産の一部を納付させ不測の事態に備え旅行者を保護する目的で定めたのが、
営業保証金(弁済業務保証金分担金)制度です。
保証金の金額は種別ごとに定められており、それぞれ
第1種:7000万、
第2種:1100万、
第3種:300万、
地域限定:100万
以上と決められています。
② 「弁済業務保証金分担金」は、①で述べた営業保証金と同じ趣旨をもつ保証金ですが、
旅行業協会に加入し、営業保証金の1/5の金額を旅行業協会に預けることにより、「営業保証金」の供託と同等の保証を行う制度です。
旅行業協会には、日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)の2つがあり、 加入は任意です。
しかし、加入により保証金の金額が1/5になるため財務的負担は軽くなり、加入している旅行会社も多いです。

3.旅行業で監査が必要になる場合
人材派遣業及び紹介業については、決算以外で要件を満たした場合の監査の必要性は明記されていますが、
旅行業については、決算期以外で要件を満たした場合、特に明文の規定はなく、観光庁に問い合わせて対応することになります。
今回は、観光庁から「資格更新の要件を満たした月の財務諸表を作成し、公認会計士等の監査を受け監査報告書を添付する」旨の指導要請がありました。
実際に東京都産業労働局のHPでは、「直近の決算について税務申告書の代わりに財務監査証明書(監査報告書のこと)の添付で足りる」と記載がありますが、
年度の途中での対応については特に記載がありません。
旅行業の資格更新は、年度末の決算で要件を満たすことが必須であると考えられます。
東京都産業労働局HP
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/sinsei/tourism/ryokotsuyaku/ryokotouroku/

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