役員給与に関する税務上の注意点

2017-08-08

1. 定期同額給与の減額改定
2. 勤務実態の証明に役立つ主な書類等
 
 役員給与は、毎月同額が原則ですが、この「同額給与」については、事業年度開始から3か月以内でなければ、原則支給額を改定できません。また、減額の場合でも、原則期中の改定は認められませんので注意が必要です。
 また、家族役員・社員の給与について、税務調査でチェックが厳しくなっていますので、勤務実態と支給額が見合っているかについて、記録をきちんと残しておきましょう。
 経営計画の策定及び、目標利益達成に向けた検討の段階で「役員報酬の増減」が重要なポイントになるので、社長はご自身の役員給与をいくらにするか慎重に検討しましょう。

1. 定期同額給与の減額改定
 役員報酬は、定期同額であれば、全額を損金算入できます。また、改訂については、原則事業年度開始から3か月以内であれば、給与の額を改定することができます。
(1)臨時改定事由
 臨時改訂事由とは、
 ・当該事業年度において当該内国法人の役員の職制上の地位の変更
 ・その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定
 を言います(法令69①一ロ)
(2)業績悪化による改定事由
 当該事業年度において当該内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由によりされた定期給与の額の改定(法令69①一ハ)
「経営状況の著しい悪化」とは、次のような場合です。
・財務諸表の数値が相当程度悪化
・倒産の危機に瀕している
・経営悪化により、株主、債権者、取引先等との関係上、役員給与を減額しなければならなくなった。
例として、以下のケースがあげられます。
(例1) 業績や財務状況、資金繰りが悪化し、取引先等の信用を維持・確保するために、役員給与の減額を盛り込んで経営改善計画を策定した。
(例2) 取引銀行との間で、借入金返済の延長や条件緩和をするために、役員給与を減額しなければならなくなった。
(3)安易な減額改定の注意点
 減額改定をする場合、安易に減額すると税務上否認される場合があります。
 事例として、ある会社の経常利益が前年比で6%減少したため、代表取締役の役員報酬を決算月の前月(3月決算であれば2月)に減額したところ、「その減額は業績悪化事由に該当しない」とされ、減額後の金額が定期同額給与と認定され、それを超える減額前の金額については損金を否認され課税対象となった判決があります。
(4)定額報酬に関するよくある失敗例
 例えば、会社を6月15日に設立し、「6月は半分過ぎたから、この月は役員報酬は半分の30万円」として翌月から60万円の定額報酬にしたとします。
この場合、「定期同額ではない」とみなされ、その役員報酬の一部(60万円−30万円=30万円)が損金として認められなくなります。
 その理由は、役員報酬は「委任契約」に基づき会社から受け取る報酬であり、従業員の「雇用契約」とは異なります。
 役員報酬とは、支給された月額報酬がその役員報酬に係るその月分になるので、株主総会等において支給時期まで定められている場合を除き、支給日に役員報酬として支払われた分がその月分の役員報酬となります。
 更に役員報酬は従業員のように締日と支払日までの期間を、締め後未払い給与として計上する事もできないので注意が必要です。

2. 勤務実態の証明に役立つ主な書類等
 勤務実態を証明するために、以下のような書類を用意しておくとよいでしょう。
(1)役員報酬
 ア.職務権限規定:具体的な業務執行の範囲
 イ.取締役会議事録:定期的な取締役会開催の事実、取締役会への出席と発言の事実、非常勤取締役への委嘱事項
 ウ.稟議書:所管部署についての稟議書決裁による業務執行の事実
 エ.勤務スケジュール表:出勤、就業の状況
 オ.扶養控除等(異動)申告書:給与所得を受給する際の税務上の必須事項
(2)従業員給与
 ア.雇用契約:書具体的な労働の範囲
 イ.出勤簿やタイムカード:就労の事実
 ウ.旅費交通費など経費の精算書:社外での勤務の場合の就労の事実
 エ.扶養控除等(異動)申告書:給与所得を受給する際の税務上の必須書類

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